ごあいさつ
穂の国森づくりの会は、愛知県東三河の森林保全・育成、再生を通じて、循環型社会の実現を図ることを目的として1997年4月12日に任意団体として活動を始め、本年で20周年を迎えることができました。ひとえに当会の活動に関わっていただいた皆様のご理解とご支援の賜物と、心から厚く感謝申し上げます。
当会は地方にありながらも、市民・企業・行政のパートナーシップによる森林保全活動や小学校への森林環境教育支援活動など、新たな取組みを多数実行し、内閣府特命大臣賞や林野庁長官賞を受賞するなど、全国的にも高い評価をいただきました。なかでも1999年に発行した「穂の国森づくりプラン」は、21世紀の森林と地域社会のあり方について一石を投じた提言書で、今なお全国から注目されています。
このプランでは、愛知県東三河地域の森林を通じて持続可能な地域社会を実現するための提言をしております。その一つが「穂の国森林祭2005」です。愛・地球博が開催された2005年をメインに東三河地域の森林にかかわる様々な討論、交流、体験などの事業を実施しました。その結果、愛・地球博地域連携プロジェクト事業の中で最大級の事業になりました。もう一つは、東三河地域の上下流の8市町村が一体となって水道使用量1トンにつき1円の資金を森林整備のために拠出するという仕組みづくりです。これは2005年に実現し、年間約8,400万円が、(公財)豊川水源基金の「水源林保全流域協働事業」を通じて水源林の整備などに使用されています。
また、今後の森づくり活動を取り巻く環境も大きく変化していきます。2009年に愛知県により「あいち森と緑づくり税」が、2019年には国により森林環境贈与税(仮称)、2024年から森林環境税(仮称)が導入されることにより、愛知県東三河地域の森林整備も今後一層進むことが予想されます。また、設楽ダムの建設に伴い水源地域のインフラ整備も進んでいます。
世界へ目を向けますと、2015年に持続可能な社会・地球環境を構築するための世界共通目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)が国連サミットで採択されました。このなかでも森林再生は、重要なテーマの一つとなっており、日本のみならず、世界規模で取り組みが進んでいくことが予想されます。
愛知県東三河地域は、高齢化や人口減少などに直面しており、持続可能な「まち」をつくり、未来を切り開くために、積極的に新たな取り組みを実践していく必要があります。当会といたしましても、「森」というテーマで愛知県東三河地域の持続可能な社会の実現に貢献していきます。今後とも、より一層のご理解とご支援をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
特定非営利活動法人 穂の国森づくりの会
理事長 神野 吾郎